名前のない生活

何者でもない僕のなんてことない日々

直売所に花を売りに行って思ったこと

 

直売所に花を出荷しに行って思ったことの記録

結論:生産者と消費者の感覚は違う

(来年の出荷に向けての備忘録)

 

 

ぼくは今、実家(父)の花農家の手伝いをチョロっとしています。

(ちなみに今年は選別・荷造り作業をしています。)

 

父は直売所は今のところノータッチなので

市場に出荷する分は父が主体で、直売所への出荷は僕が主体

…という感じでやっています。

 

 

今は芍薬(シャクヤク)の時期(がそろそろ終わる頃)です。

ちなみにうちは芍薬は市場に出荷できるほどは作ってないので、直売所販売のみです。

 

直売所から回収して来て咲き誇る芍薬…とリシマキア

 

 

直売所に出荷した場合、売れ残りは引き上げて来ないといけません。

出すところから引き上げるところまでが生産者の仕事。

 

直売所のスタッフがはねてくれる場合もありますが、

そうなるとTHEゴミって感じになっていまうので、

自分で回収して来た方が家で飾って成仏させてあげられるので(?)

有益かな?と思います。

 

大規模でやっている家はそんな手間ないと思いますが、

小規模でやっているので、ポイポイ捨てずに、

自分の家で飾ればいいや〜っていう感覚です。

 

あんまり粗末なものを置いておくのも良くないですし、

適度なタイミングで引き上げてくるのがベターですね。

 

ということで、引き上げ時期の見極めが重要になってくるのですが…

 

 

 

そもそも花は、お客さんの手元で1番の見頃を迎えるように逆算して切ります。

 

切ってからも植物の成長は続くので、

満開(見頃)の状態で収穫してしまうと

お客さんの手元に行くまでの流通中にどんどん枯れるor散ってしまうのです。

 

花開くギリギリ手前、つぼみの状態で切ります。

切るのが早すぎてもいけません。

あまり切るのが早すぎるとつぼみのままで枯れてしまう(咲かない)ので、

明日・明後日には咲くぞ…!という予感がするタイミングで切ります。

つぼみがふっくらして今にも花が綻びそうな感じの状態です。

 

まぁ、細かいことは良いんですが、

とにかく、生産者としては、

花が咲く前の“ふっくらしたつぼみ”が一番長く花を楽しめる、

ベストタイミングの花、ということになります。

 

お客さんにもより花を長く楽しんでもらいたいと思うので、

直売所にもふっくらしたつぼみを出荷します。

(っていうか、つぼみじゃないともはや売り物にならないという感覚)

 

ぼくもそうしていますし、

他の方の出荷物を見ても、花農家さんはつぼみで出荷しています。

市場に出すのと同じ感覚で直売所にも出しているわけです。

 

 

 

しかし、直売所に出荷しに行ってみると、

お客さん、意外と開いた花を買う……

 

「え?こんなに咲いていちゃ、あとはもう散るだけだよ」

と思うくらい咲いていても結構手に取っておられる……

 

散り際なのに?それでいいの?

明日明後日には最高の大輪を咲かせるつぼみじゃなくて?

 

 

 

たしかに、つぼみって見た目が地味

つぼみを見て欲しいって思う人って少ないのかも…

 

芍薬は特に顕著で、

ち〜〜〜〜さなつぼみが、ある日突然ほころんで

ぎゅっと詰まったバラのような形になり、

その翌日には、ぶわ!!!っと大きな立派なゴージャスな花になるのです。

 

直売所で観察していたところ、つぼみで買う人もいました。

でもそれってたぶん、花をよく買う、知識がある人だけなのかもしれない。

 

芍薬のつぼみから満開までの花の開き方や、その早さを知っていれば

つぼみで買うのがベストだと分かるし、

ただの小さなまん丸大輪の花になると知っているから

ちっぽけな丸い玉を買うことができる。

 

でももし、

芍薬はつぼみの状態だと意外としょぼいということを知らなかったら

小さなつぼみを見て小さな花なのかもしれない、と思うかもしれない。

つぼみから大輪の花を想像できないかもしれない。

なんなら、本当にこれが咲くの?と不審に思うかもしれない。

 

だから、

目の前で確実に綺麗な、咲いている芍薬を買う……

 

考えてみれば、たしかに、花屋に売ってる花は満開の花

(もしくは八分咲き)

 

 

 

花を買う人は、咲いている、いま綺麗な花を買うんだ。

たとえそれが2日後には散ってしまうとしても、

いま綺麗な花を見て、欲しいと思うんだ…。

 

当たり前だけど、目からウロコ。

 

花束を贈るときにつぼみの花は贈らないもんな。

花屋さんはこの花は明日には枯れることを知っていても

“いま”綺麗な花で花束を作る。

 

「明後日満開になって、1週間後に散る花」が

長く楽しめてベストだと思っていたけど、

お客さんは「いま綺麗な花」を買うんだ…

 

 

 

不思議だったんですよ。

「あぁ、これはもう開いて来ちゃってるから、明日には引き上げなくちゃ」と

思っていた咲きかけ芍薬があって(6〜7分咲きくらいだったと思う)

でもその翌日には予定があって取りに行けなかったので、

遅れて回収に行ったら、無くなっていた。

あれ?売れたっていうこと…?

 

生産者としては寿命の短い花を買う人がいるのを不思議に思ったんですが、

消費者として自分が花を買う時のことを考えたら確かに、咲いてる花を買うね。

 

あした満開になる花がベストで、あさって咲く花は買わないわ。なるほど。

(7〜10分咲がベストで、0〜2分咲は買わない)←芍薬は早いので5分咲とかの状態がない、一気に開く。

 

 

 

っていうことは、

そんなに早く回収に行かない方がいいんだ。

 

満開が売れ時なんだ。びっくり。

あたりまえなのに信じられない、不思議な感覚。

 

とりあえず、

芍薬はもう終わりの時期なので来年の教訓にしたいと思います。

 

 

満開が売り時!

 

 

 

終わりかけの芍薬とリシマキア

 

 

 

<おわり>